人民元切り上げは、個人投資家にとってもチャンスです。が、それとは別に、根本的な問題として、世界と中国に与える影響は、どんなものがあるのでしょうか?

人民元切り上げ問題のまとめ

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■人民元切り上げ問題のまとめ
人民元切り上げは、個人投資家にとってもチャンスです。が、それとは別に、根本的な問題として、世界と中国に与える影響は、どんなものがあるのでしょうか?
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人民元切り上げのプラスとマイナス

人民元切り上げは、個人投資家にとってもチャンスです。が、それとは別に、根本的な問題として、世界と中国に与える影響は、どんなものがあるのでしょうか?

まず、前のページでも述べたとおり、中国からの輸入を抱えて、対中赤字を抱えた国々にとっては、国内産業が一息つけるかもしれない、という事情があります。

とくにアメリカの貿易赤字は長期化し、借金体質に近づきつつあります。これに関しては、アメリカの国内製造業のロビー活動が人民元切り上げの圧力元であり、人民元切り上げの圧力は、大統領選に絡んで発せられる国内向けのメッセージではないか、と見られていました。

しかし、状況はもっと深刻でした。

2004年には、アメリカは6600億ドルという赤字を出しました。これは、GDPの6%弱にあたります。これはつまり、アメリカ全体が、外国と取引して、ドルを支払ったりドルを受け取ったりした合計が、6600億ドルのマイナスになった、ということです。

たりない分の金をどうやって確保するかというと、簡単に言うと、外国からの投資・借金です。

これはアメリカ国債だったり、株式だったり投資だったり、外国のお金がアメリカに流れ込んできて、この赤字を補填していたわけです。

これは、アメリカ経済が好調なうちはむしろアメリカ経済力やアメリカの自由な金融市場への信頼の証とみられていました。しかし、アメリカの赤字が長期化・拡大化するにつれて、これがアメリカの金融不安を引き起こす引き金になるのではないか、という懸念が出てきました。

赤字続きの会社に投資をする人がいないのと同じことです。

この場合、自由なアメリカの金融市場が、かえってあだになり、アメリカ市場への資金の流入が滞ることによって、資金調達の困難化や利上げの要因になるかもしれない、ということです。また、自由市場であるために、過剰な反応によってパニックに近い資金の移動がおきることも懸念されます。

というわけで、アメリカにとっても、人民元切り上げによる対中赤字解消は、重要な課題となったわけです。

ヨーロッパ・欧州連合にしても、対中赤字・ユーロ高の解消のために、やはり人民元切り上げを望んでいます。

日本の場合、中国への輸出や歴史的背景・さらには自国の通貨政策を欧米諸国にバッシングされた経験もあって、あまり強行な政策は取っていません。そもそも日本の場合、日本自身が、市場介入によって円の価値を望ましい値に向けて維持しているという負い目があります。

ただし、人民元が切り上げられた場合、上記のアメリカの金融市場に、やはり同じような影響を与えることが懸念されます。中国は、(これは日本も同じですが)貿易黒字解消や市場介入のためにアメリカ国債を大量に買い付けています。これが、アメリカ国債の売買のしやすさにつながり、金利も低いままでいわばアメリカ国債紙幣として流通するわけになっています。

もし、中国の貿易黒字が減ると、このアメリカ国債の買い付けが減るわけで、これはアメリカ国債の金利上昇につながります。まあ、国債に投資する分には嬉しいわけですが、アメリカの国内経済には打撃となる可能性があります。なにせ、借金体質で赤字がつもりにつもっているのに、お金を借りるのが難しくなると・・・。

一方で、中国国内の状況はどうでしょうか?

まず、人民元切り上げによって、外国からの資金の流入が鈍ります。これは、いま問題になっている土地バブルを沈静化する意味でも歓迎でしょう。また、景気そのものが加速しすぎの気味があり、国内の経済格差を拡大させないためにも、切り上げによる輸出業の伸びの抑制は、中国政府の望むところといわれます。

もちろん、それが完全な変動相場制への急激な移行を意味するわけではありません。よくよく考えてみれば、日本だって完全な変動相場制ではなく、金融政策によって通貨市場に介入することがしばしばです。

では、日本程度の管理型変動相場制への以降はどうか、とも思いますが、そうすると中国国内のインフラ整備が追いつきません。

国内外の通貨の供給量をにらみつつ、金利政策や通貨市場への介入によって相場を管理する、というのは、いまも限定的に行われています。

が、中国は基本的に共産党独裁で50年近く過ごしてきた国で、いままでは国が決定するだけでことがすみました。

市場の自由化にともなう金融の自由化には、中国国内の経済官僚の育成、銀行業の効率化、ようするに「慣れ」がかかせないということです。

「人民元切り上げ問題」には、以上のような中国内外の思惑が複雑にからまりあっているわけです。

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