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人民元切り上げ問題のまとめ

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元の為替レート是正、すなわち値上げを要求する各国の言い分

重なる部分もありますが、ここで各国の人民元切り上げ要求のまとめをしてみます。

アメリカの言い分(推測も混じります):

対中国の貿易赤字が溜まりつつあります。これに対し、アメリカ政府は、国内の製造業者よりの圧力によって、中国に対して貿易黒字の解消をもとめざるをえなかった。

また、中国の外貨準備高が日本を抜いて事実上世界一になっています。これは中国が貿易黒字をアメリカの国債をドル立てで買い入れることになっており、中国は対テロ戦争の事実上のスポンサーのひとつとなっている。これは、アメリカの外交・内政上の不安要因のひとつです。人民元切り上げは、ドル立て国債の実質上の価値減少とともに、中国の貿易黒字解消による中国の外貨準備高の減少を意味します。

さらに、いままでアメリカが貿易赤字を出し続けても、外国からの資金があつまるのは、アメリカ経済の好調さ、健全さを示すものだと言われていました。しかし、近年、アメリカ国内での利率の上昇など資金調達の困難化を示す兆候が出始めています。これはアメリカから資金が流失しはじめるかもしれないということです。そうすると、アメリカ経済は一気に悪化します。いままで借金で回っていた経済が、借金ができなくなって首が回らなくなり、ドルの価値を裏打ちするアメリカ経済が失速するわけです。人民元切り上げによるドル安は、結局ドルの価値をたもつためにも都合がいいわけです。


ヨーロッパ・欧州連合のユーロ参加国の言い分:


ユーロ圏の言い分も、基本的な部分ではアメリカと同じです。ユーロの値段がドルに対して高すぎるため、人民元に対してはさらに高くなってきています。これは、中国や米国にたいして輸出力で大変不利な立場におかれていることを意味します。

またユーロは、欧州連合のうちユーロ参加国によって使用されている通貨ですが、国ごとに経済状況は違います。基本的には、ECB・欧州中央銀行によって、その通貨政策は決められることになっていますが、ひとつの中央銀行に12カ国の中央政府で、そううまくことが運ぶわけがありません。それでもユーロの統合性を保つために、各国政府には赤字限度額その他の財政上の縛りがあるわけです。だから、赤字でもいいから公共事業に支出するなどの景気浮揚策がとりがたいです。とくにこの財政赤字をGDPの3%以内に抑える、という縛りが、ユーロ高によって実質的に守ることが不可能になってきています。

そうした構造的な問題が、中国の人民元切り上げによって、ユーロが相対的に安くなることにより、ある程度解消されるのではないかという期待があります。


日本の言い分:

日本の場合、その事情は欧米と変わらない。ただ、欧米諸国よりそのトーンはいささか弱い。それは、日本そのものの市場介入がときに批判されたり、日本の貿易黒字がかつてバッシングされたりしたという事情もあります。現在は貿易赤字が出ていることは出ていますが、中国製品・食料品の流通量が増加しつつありつつも、対中国への輸出額もまた増加しつつあり、経済にかぎっては日中は案外うまくやっているといっていいでしょう。

しかし、日本の懸念としては、中国が外圧に負けるかたちで急激な人民元切り上げをした結果としておこる経済的な混乱です。今のうちに、少しずつ上げていってそういう混乱をしてくれるな、という、いわば高度経済成長を遂げた先輩としての忠告です。


以上の思惑が重なって、ドバイでのG7会議で、各国は「通貨政策の柔軟な運用を望む」との中国向けの宣言を発しました。これは、「G7以外の国へのメッセージ」であり、異例のことでした。中国経済は、もはや世界のなかで無視できない地位を持つまでに発展してしまったのです。

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